五月 菖蒲打しょうぶうちの図
五月五日、端午たんごの節句せっく=現在の「こどもの日」に武家屋敷ぶけやしき(さむらいの家)で行われた「菖蒲打しょうぶうち」の様子を描いている。この日には子供たちが束ねた菖蒲の葉で地面をたたきあう「菖蒲打しょうぶうち」とよばれる遊びが行われた。しかし「越前国古今名蹟考えちぜんこくここんめいせきこう」によれば、福井ではこの図のように太く束ねた菖蒲の葉を「祝いわいの菖蒲」と名づけて、こどもたちが通行する女性じょせいの尻しりを打って回るという、変わった風習ふうしゅうが行われた。画面両端の武家屋敷の中には鯉こいのぼりやさまざまな模様の幟のぼりが立てられ、こどもの祝いが盛大せいだいに催もよおされた様子がうかがえるが、これらを足羽山に登って見物する人たちもいたという。
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