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今から千年余り昔、平安時代後期に生まれた日本刀は、はじめ大和・山城(現在の奈良県・京都府)といった政治の中心地や備前(現在の岡山県)・奥州(東北地方)といった良質の鉄産地に近い場所で製作されました。しかし13世紀頃から、海運など流通が発達したことにともない、原料となる鉄が他の地方でも入手できるようになったことで、全国各地に刀工が分散し、新しい刀剣の産地ができたと考えられます。
越前(現在の福井県北部)ほか北陸地方の各地でも、南北朝時代以来、いくつもの刀工集団が活躍しました。「北国物(ほっこくもの)」と呼ばれた彼らの作品は、一部を除き備前や相州など、古来の刀剣産地の作品と比べて知名度も評価もあまり高くない傾向にありますが、独特の地鉄の風合いとすぐれた技術で、時の権力者の愛蔵品となったもの、近代以降、美術的価値の高さを認められ文化財指定等を受けたものも数多くあります。
本展では千代鶴派、藤島派、敦賀鍛冶など中世の越前で活躍した刀工を中心に、近世に隆盛する新刀にもつながっていく北陸の刀工たちの足跡をたどっていきます。 |
開催概要 ※新型コロナウィルス感染症の影響等により、予定を変更する場合がございます。 |
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会 期 |
10月10日(土)~11月23日(月・祝)
開館時間:午前9時~午後7時、11月6日以降は午後5時まで
※会期中の休館日なし
※短刀 銘 吉光 名物秋田藤四郎(重要文化財)の展示は会期前半、11月1日(日)までとなります。 |
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会 場 |
福井市立郷土歴史博物館 |
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観 覧 料 |
一般700円、高校・大学生500円、中学生以下無料
・70歳以上の方、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている方とその介助者の方は、無料でご覧いただけます。
・ 特別展観覧券で、平常展示および養浩館庭園もご覧になれます。
・友の会優待観覧券で観覧できます。
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主 催 |
福井市立郷土歴史博物館
※本事業は文化庁令和2年度地域ゆかりの文化資産を活用した展覧会支援事業補助金の交付を受けています。 |
共 催 |
福井新聞社 |
後 援 |
FBC福井放送、福井テレビ、FM福井、福井ケーブルテレビ、さかいケーブルテレビ、福井街角放送 |
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主な展示資料 →展示作品リストはこちら(PDF) →解説シートはこちら(PDF) |
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●第1章 越前・若狭・加賀の古刀
鎌倉末期から南北朝時代にかけて(13世紀後半~14世紀はじめころ)は、戦乱が続き刀剣の需要も高まった一方で、その材料となる鉄素材の流通にも大きな変化があったものと考えられており、古代以来の刀剣の産地である畿内や瀬戸内、新興産地の相州鎌倉などから各地に刀工が分散し、新しい刀剣の産地ができました。北陸地方でもちょうどこの時期に、歴史上はじめて刀工たちが活躍を始めています。
越前…千代鶴派・敦賀鍛冶・藤島派・浅古当麻/加賀…真景・加賀青江(家次・勝家など)・清光/若狭…冬広 などの作品を紹介していきます。
写真左:刀 無銘 伝千代鶴(切先部分:個人蔵)
下:脇指 銘 信長(伝細川忠興所用 公益財団法人永青文庫所蔵)
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●第2章 越中の古刀
鎌倉時代末期~南北朝時代(13世紀初頭)に活躍した鎌倉の名工・正宗にならぶ存在として、越中国(現在の富山県)では則重、また少し遅れて郷(江)義弘が出ています。
「北国物」の中でも別格とされるこの二人と、同じく13世紀はじめころから活躍する、古入道国光を祖とする宇多派(大和国(現在の奈良県)より移住)の作品を紹介します。
写真右:太刀 銘 則重(切先部分:重要文化財 藤島神社所蔵 当館寄託)
写真下:太刀 銘 宇多国房(重要美術品 一般財団法人秋水美術館所蔵)
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●第3章 刀剣書にみる北国物と藤四郎吉光越前出身説
天下三作にも数えられる、鎌倉時代中期(12世紀後半)に活躍した京の粟田口派の名工、藤四郎吉光について、江戸時代の刀剣書には越前(福井県北部)の出身であるとするものが複数あります。その中には出身を越前とするばかりでなく、より細かい経歴について記すものもあります。これら刀剣書が拠ったであろう史料は現在失われており、また現地でもそのような伝承の存在は確認されていないので、その根拠は不明のままですが、全くの創作と切り捨てる前に、わずかにみられる手がかりの人名・地名について検討してみたいと思います。また、古くからの刀剣書に見える「北国物」についての記述も見ていきます。
写真左:『古今銘尽』粟田口派系図に見られる吉光の記述(部分、刀剣博物館所蔵)「…越前物名人なり」とある/下:短刀 銘 吉光 名物秋田藤四郎(重要文化財
京都国立博物館所蔵)
※短刀 銘 吉光 名物秋田藤四郎(重要文化財)の展示は10月10日(土)~11月1日(日)となります。 |
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●第4章 そして新刀へ
中世北陸各地の刀工たちは、あるものは集団として栄えて各地に広まり、あるものは1代~数代限りで衰退していきますが、17世紀初頭以降、時代が移り変わり、再び新しい刀の産地がかたちづくられていく中で、これら古来の系譜をもつ刀工たちがその原動力となった例も多くあります。
新しい時代を担っていったこれらの刀工たちの作品をみていきます。
写真左:脇指 銘 越前一乗住兼則/神祇五位大祐卜部定澄
(福井県立一乗谷朝倉氏遺跡資料館所蔵)
右:鐔 銘 三郎兵衛/若州住冬広(個人蔵 当館寄託)
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関連催事 ※新型コロナウィルス感染症の影響等により、予定を変更する場合がございます。 |
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