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ごあいさつ |
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飛鳥時代の法隆寺の金堂や五重塔をはじめとするわが国の木造建築は、日本が世界に誇れるすばらしい伝統文化である。こうした木造建築をつくり続けてきたのは宮大工あるいは堂宮大工と呼ばれる、寺社建築を専門に手掛ける大工や棟梁たちで、彼らは優れた技術を伝承し、より洗練させながら現在にも受け継いでいる。
福井県内では、鎌倉時代に建立された明通寺の本堂と三重塔が現存する最古の寺院建築であるが、これまでの発掘調査によってすでに古代から堂塔伽藍を擁する寺院が存在していたことが確認されている。当然のことながらこれらの伽藍造営に関わった大工たちがいたことは疑いない。奈良時代の東大寺建立において、技術者の長で、越前の人ともいわれている益田縄手もその一人であろう。
中世になると、県内にかかわりがある大工として、永平寺の開祖道元に伴って来日した宋大工玄源盛が知られている。後の永平寺大工の祖と伝わる人である。江戸時代にはこうした個人よりも大工集団としての活躍が主になる。先の永平寺大工は居住地の地名から志比大工とも呼ばれ、永平寺に限定されず、県内はもとより加賀や越中、近江あたりでの活躍も知られている。越前では他に旧金津町伊井村の大工や旧武生市小野谷の大工、今庄の大工が知られている。一方、若狭では小浜の大工が著名である。なお、幕末から明治期に京で活躍した木子棟斎は美浜町興道寺村の出身であり、彼も若狭の大工に含めてよいだろう。
近世までの大工、棟梁は自ら設計図をつくり、作業にも従事する形態が通例であったが、江戸後期以降、特に明治を迎えて近代化が進むにつれて、建築界にも分業化の波が押し寄せ、建設会社や事務所の成立、それに伴う設計業務に関わる専門技術者の出現により、大工たちは直に仕事に関わる技術者へと変貌していく。したがって、明治以降の絵図面は大工の手から離れ、設計専門家によってつくられたものが多くなっていった。
今回の展覧会は、越前と若狭の大工たちを紹介するとともに、彼らが残した絵図や技術書などの記録、また彼らが使っていた道具などを展示しているが、近代以降の設計事務所や建設会社に所属していた技術者たちの手になる絵図面も展示している。これらを通して越前若狭の大工たちの優れた技術の一端に触れるとともに建築図面の時代的な変容にも目を向けて欲しいとの願いから開催するに至った。
なお、今回の展示は、越前と若狭、すなわち福井県内の大工家が所蔵する絵図面や道具が主であるが、大工の信仰のよりどころであった聖徳太子や太子が建立した法隆寺五重塔の模型(鵤工舎製作)、さらに越前北庄出身で後に加賀前田家の御大工として活躍した山上善右衛門嘉継が建立した富山県高岡市の瑞龍寺(国宝)の図面も合わせて展示する。また、縁あって、奈良薬師寺の白鳳伽藍復興に腕を揮った西岡常一棟梁の自筆設計ノートも特別に展示させていただくことになった。建築に興味のある方はもとより、多くの方々にこの機会を逃さずご観覧いただくことを願う。 |
「越前若狭の大工と絵図、道具」実行委員会 |
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開催概要 |
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連続講演会 会場:当館2階講堂、定員:60名(当日先着順)、福井ライフ・アカデミー連携 |
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5月19日(土) 午後1時30分~
「越前の大工、若狭の大工」 講師:吉岡泰英(福井県文化財保護室)
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5月26日(土) 午後10時30分~
「錦帯橋の木組」 講師:海老崎粂次(海老崎組)
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6月9日(土) 午後1時30分~
「瑞龍寺の図面と山上善右衛門」 講師:上野幸夫(富山職藝学院) |
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6月23日(土) 午後1時30分~
「木の建築をつくる技術と道具の歴史」 講師:渡邉晶(財団法人竹中大工道具館) |
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7月1日(日) 午後1時30分~
「伊井の大工、小野谷の大工」 講師:国京克巳(若越建築文化研究所) |
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7月7日(土) 午後1時30分~
「大工と棟梁、むかしの絵図面について」 講師:吉田純一(福井工業大学) |
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主な展示資料 |
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1. 法隆寺五重塔模型(鵤工舎製作) 鵤工舎蔵
2. 大滝神社本殿及び拝殿 絵図(重要文化財附指定) 大滝神社蔵
3. 大谷派福井別院本堂絵図 個人蔵
4. 瑞龍寺山門古図(国宝附指定) 瑞龍寺蔵
5. 永平寺仏殿図・大庫院図 大本山永平寺蔵
6. 大工道具(槍鉋ほか) 個人蔵
7. 大谷派福井別院儀式用道具 福井市立郷土歴史博物館蔵
8. 西岡常一筆寧楽薬師寺再建設計ノート 個人蔵 |
以上のほか、約120件を展示します。なお、会期中に展示替えを行います。ご了承下さい。 |
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