『 松平春嶽 愛蔵の品々 − 越前和紙 −
 
 越前は五箇村地方(現今立郡今立町)を中心に、古来わが国第一の高品質和紙生産地として重要な地位を占めてきた。中世以来、朝倉氏や織田信長、豊臣秀吉、結城秀康らは、いずれも入国後ただちに五箇村地方の紙座に保護を加え、良質の鳥の子紙や奉書紙の供給を確保した。そうした越前特産の和紙の中には、打雲・水玉・飛雲・墨流しなどとよばれる美しい模様の漉紙があって、今日にもその技術が伝えられている。
 ここに展示したのは、春嶽やその一族が使用した歌書等の表紙に用いられている越前模様漉かけ紙で、いずれも当代一級の技術水準を示している。



 

 

 

 

 

 

 
 
松平治好夫人定姫愛蔵
歌書類
 
附松平春嶽添書

 
 墨流しなどの技巧を施した13代藩主治好(はるよし)夫人定姫(さだひめ・麗照院)が愛蔵した賀茂真淵ゆかりの歌書類で、帙(ちつ)の裏には打雲(うちぐも)を貼り、春嶽が伝来の由緒を書き付けている。

柳荒美談



 春嶽の生母、青松院の遺品の一つである「柳荒美談」の表紙には、墨・藍・朱の三色墨流しを用いる。

筆子略伝



 春嶽の幼少期の思い出を明治19年に綴ったもの。表紙に打雲を用いる。

翠園叢書抜萃



 奥書によれば、明治17年、鈴木重嶺から借り受けて書写したものという。表紙に飛雲を用いる。

前世界雑話稿本



 前世界雑話稿本は、明治維新の後、旧幕府の習俗が忘れ去られてしまうのを惜しんだ春嶽が、明治19年に江戸幕府の制度・風俗・慣習等を記したものである。表紙に墨色の水玉を用いる。

幼稚履歴記憶録



 春嶽の誕生から二十代にいたるまでの自叙伝。表紙に墨・藍の二色墨流しを用いる。


 
慶政私記



 慶政私記は、慶長5年9月より寛政12年10月に至る間を、各将軍ごとに條を分け、上之部・御三家越前家諸大名諸御役諸組・制令金銀御普請・異国雑事の四項目について主要事件を年表風に整理したものである。表紙に藍の水玉、包み紙に飛雲を用いる。


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